ドイツのある病院。

手術が終わり、オペ室から医師が数人出てきた。

口々に執刀医の見事な腕をほめたたえる。

そのうちの一人が執刀医に握手を求める。

「素晴らしいオペだったよ、ヘルDr.テンマ。

ケンゾー・テンマは天才だという事を改めて確認したよ。」

 


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天才外科医の名は天馬 賢三。

28歳の日本人。

脳神経外科と救急外科を掛け持ちしている。

 

いつの間にかもう昼。

廊下の窓から差し込む太陽がまぶしい。

夜中から6時間ぶっ続けのオペだった。

疲れ切っているテンマはフラフラと廊下を歩く。

 

廊下のベンチで子連れのトルコ人女性が泣いている。

 

そう言えば同じ頃もう一件トルコ人の労働者が担ぎ込まれていた。

そちらの方はDr.ベッカーが執刀した。

結果は、助からなかった。

男の子が母親に向かって

「父ちゃんは?父ちゃんは?」

と聞いている。

女性は声を上げて泣く。

 

この病院はデュッセルドルフ・アイスラー記念病院。

1986年。

ドイツのデュッセルドルフ。

マンションの一室で手術明けのテンマが寝ている。

そのテンマにキスをして起こす、美しい女性・・・

この女性はエヴァ。

テンマの彼女のようだ。

 

テレビのニュースでは

先日東ドイツから西側へ亡命した東独貿易局顧問のリーベルト氏について報道している。

昨日、妻と子供二人と共に、マスコミの前に姿を現した。

しあわせそうな家族。

子供は娘と息子だが、二卵性双生児とのこと。

 

ニュースは次に、昨日のテンマが執刀した手術の件を伝える。

昨日テンマが手術をしたのは、

くも膜下出血で倒れたオペラ歌手、ローゼンバッハ。

術後の容体は順調とのこと。

この件についてハイネマン院長が会見する。

手術は上手く行き、今後も彼の歌声をよみがえらせるために全力を尽くすと言う院長。

今回の件でハイネマン院長とアイスラー記念病院の評価はまた一段と高まった。

 

ニュースにはテンマの名前は出てこなかったが、エヴァはとても喜んでいる。

実は、ハイネマン院長はエヴァの父親。

ケンゾーが完璧な手術で患者を救うと、父親の名声が高まるのだ。

このまま行けばハイネマン院長が理事長になるのも時間の問題。

そうしたらテンマは外科部長。

ゆくゆくは院長に・・・

エヴァは院長夫人になる。

エヴァ
「幸せにしてよ。

わたしに苦労は似合わないんだから。」

 

テンマが書いた論文を院長が褒めていたという。

嬉しそうにするテンマ。

しかしその論文は院長の名で学会に発表したという。

驚くテンマ。

エヴァ
「父のために書いた・・・

そうでしょ?」

うなずくテンマ。

手術室。

テンマが脳外科手術をしている。

相変わらず見事な手際。

 

手術後、廊下でDr.ベッカーがテンマに声をかける。


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手術は相変わらず見事だが、上手いのはオペだけじゃないね、などど言ってくる。

どうやら院長の娘と付き合っていることを妬んでいっているようだ。

院長に何かと利用されているテンマ。

利用されるだけじゃなく、お前も院長を利用してやるんだ、と言っている。

テンマが出世したら自分のことをよろしく頼むと言いたいらしい。

 

テンマが廊下を歩いていると、先日のトルコ人女性がテンマの前に立ちはだかる。

女性は
「亭主を返してよ。」

とつかみかかって来た。

自分の亭主はオペラ歌手より早く担ぎ込まれた。

亭主のことはアンタが手術するはずだった。

腕のいいあんたが手術をすれば助かったはず!

 

テンマはあの日のことを思い出す。

あの夜は確かに、テンマは工事現場で事故にあったトルコ人のオペに当たるところだった。

だが・・・

直前になってオペラ歌手の手術をするように命じられたのだ。

院長からのお達しだった。

 

その後も女性は、あの人を返せと言って、テンマの胸をたたき続けた・・・

テンマとエヴァがレストランで食事をしている。

エヴァが一生懸命話をしているが、テンマは上の空で聞いていいない。

テンマはトルコ人の件が気になっていたのだった。

カルテを見た。

Dr.ベッカーの手術に不手際はないが、明らかに時間がかかり過ぎている。

もっと迅速に開頭して、外減圧をすれば・・・

自分執刀すれば、助けられたかもしれない。

しかし、自分だって上から命令で仕方がなかった。

自分に責任はない・・

そうエヴァに話すテンマ。

 

じっと聞いていたエヴァ。

「そうよ。

当たり前よ。

人の命は平等じゃないんだもの。」

当然のように言うエヴァの言葉にテンマはショックを受けた。

 

人の命は平等じゃない・・・

 

うちの人を返してよと泣き叫ぶ女性の姿を思い出す。

雨の夜。

何か事件が起きた様子。

多くの警察車両が大きな屋敷を取り囲む。

通報者は隣人。

聞こえた銃声は5,6発。

この家の住人はリーベルト氏の一家。

警官が銃を構えて一斉に踏み込む。

その時の光景は・・・

頭を撃ち抜かれて倒れているリーベルト夫妻。

犯人はすでに逃走した模様。

そしてやはり頭から血を流して倒れている男の子。

女の子がその男の子のそばに呆然と立ち尽くしていた・・・

 

少女一人生存確認。

男女二名は絶命。

男の子は重体だが、脈拍あり!

ベッドで寝ているテンマのポケベルが鳴り響く。

テンマ
「急患か・・・」

——1話ここまで。

モンスター 2話に続く

〇感想

20年以上前の浦沢直樹の漫画です。

好きで、時々読み返してます。

試しにネタバレしてみました。

面白いですが、なにせ昔の漫画なので・・

若い人は知らないでしょうね。

インパルスが若い頃にコントのネタにしてました。

ヨハン・リーベルト・・・


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