細川忠興邸。
妻の珠が庭で遊ぶ我が子二人を愛おしそうに見ている。
子供の名はおちょうと熊千代。
本当に可愛らしい。
そして珠は、この幸せがいつまでも続くように心から願う。
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その時、家臣が急な知らせを持ってくる。
その知らせとは・・・
明智光秀(珠の父)謀反を起こして信長を焼き討ちにしたこと。
この瞬間に、珠の幸せはもろくも崩れたのであった・・・
—
失った幸せと引き換えに、彼女が手に入れた力とは・・・
—
時は少し遡り・・
八郎達が討ち入る前の鳳輦車。
京の明かりが見えてきて、成尋衆は皆上機嫌。
孔雀も、京の明かりを肴に戦勝の前祝いをしようなどと言っている。
孔雀
「何しろ今宵が成尋様の大願成就の時となる。
新たに与えられたこの命も報われようというものさ。」
孔雀は、お前もそう思うだろ。
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「夜叉・・いや、明智珠・・だったかな。」
と言って夜叉に絡む。
夜叉はその名で呼ばれると不愉快な様子。
とうの昔に捨てた名。
成尋様の勝利を願う気持ちに偽りはない。
孔雀は夜叉の首に刀を当てて忠告する。
私情は捨てろ。
お前の過去と、一番の望みを知っている。
「お前が秘めたる怨恨の炎が消えておらぬこともな。」
あのお方に叛意を持つ持つものは私が斬る。
二度とあんな目に遭うのはごめんだ。
夜叉は言い返す。
私情を捨てていないのは孔雀の方。
首の傷をあえて治さないのはその証。
其方は余程あの八郎のことが・・・
夜叉の言葉を孔雀が遮る。
「だまれええ」
夜叉は一瞬のすきを見て孔雀から離れる。
珠と言うのは二ツ前の名前。
キリシタンとしての名前はガラシャ。
そう呼ばれた時もあった。
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