冒頭、回想から。
才蔵が森の中の川のほとりに佇む。
スポンサーリンク
光の当たらない
静かで暗い場所。
そこが光に背を向ける才蔵の生きる場所。
そしてしぬ場所。
そこに八郎や響、現たちが呼びに来る。
光の下へ連れ出そうとする。
「どうだ才蔵。
向こうで皆と一緒に釣りでもせぬか?」
才蔵はそれを断る。
いつもの決まり文句で
—
現在。
才蔵と現は果てのない廊下を走っている。
魔術でできた空間はどこまで続くのか・・
半里・・・
才蔵は半里先にこの空間の果てが視えるという。
「だが・・・」
才蔵の言葉が終わらないうちに現が喜んで話し出す。
これで涙や滑婆たちと合流して響も元通り。
八郎あたりが成尋衆を倒して一件落着。
後は八郎と響の双子結婚がなれば!!
スポンサーリンク
自分と涙の婚礼も認められて二人の蜜月が始まる。
この戦いに身を投じたのは全て愛のため!!
呆れた顔で現を見る才蔵。
現が羨ましいと言う。
そのことを叶えるにはいくつかの関門を超えなくてはならない。
前方に見える光。
あれがこの空間からの出口。
一つ、これから全力で走って響と共に脱出すること。
二つ、これから何が起こっても振り返ってはならない。
「俺が僅かでも刻を稼ぐ!!」
二人の背後には孔雀が迫っていた!
現の幻術で撒いたはずだったが・・・
孔雀の術・・・時の逆鉾。
孔雀はこれで才蔵たちの時間を逆流させて間を詰めたのだった。
実は他者にも使えた時の逆鉾。
道理で走っても走ってもこの空間を脱せなかったわけだ。
孔雀は二人の前に回り込んだ。
「さあ、どちらからしにます?」
次ページへ
スポンサーリンク