涙は育ててくれて人から禁じられていることがあった。

 


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それは、肉体を鍛えること。

涙の忍法は、喰われることではじめて真価を発揮するものだから。

無力こそが至上の力。

 

 

廊下を進む滑婆、涙、現、響。

いくら走ってもまた同じところに戻ってくる。

ここにも孔雀の時の逆鉾の魔術が及んでいるのだろうか。

しかしいつまでもグルグル回っている訳にはいかない。

何か妙案は・・・

と滑婆が考えているときに響が倒れた。

 

別に具合が悪いわけではないという。

ただ、6年ぶりに首から下がついたからまだ感覚が戻らない。

少し休めば多分治ると話す。

 

もう一人倒れそうな人がいる。

涙だ。

家庭の事情で体を鍛えることを禁じられてきたので、皆みたいに走ったら・・・

そこまで言って涙はうつぶせに倒れて吐いてしまった。

 


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このままでは任務どころではない。

二人を少し休ませる事にして滑婆は斥候としてあたりを見て回ってくることにした。

滑婆
「半刻ほどで戻るから、それまでに戦える状態に回復しとき。」

 

滑婆は意味深に現の顔を見ると

「な?」

と言って走って行った。

 

滑婆は全てお見通しだった。

本当に戦えない状態なのは、現。

 

ひっさつの忍法で任務を遂行する、向かうところ敵なしの伊賀忍者のはずが・・

現実は男に助けられてばかり。

おめおめと逃げ延びて・・・

 

あたしは孔雀に何もできなかった。

そう言って唇をかむ現。

悔し紛れに柱を素手で殴って拳から血がにじむ。

 

仲間の仇も討てない無力に自分に腹を立てる現。

 

涙は自らの強酸性の体液ゆえに、愛する現が苦しんでいても抱きしめることすら出来ない自分に絶望する。

 

 

 

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