大阪大会決勝。

5回裏、快苑の攻撃。

スコアはDL 1-3 快苑

ワンアウト1,3塁。

強力打線のクリーンナップを迎える!

マウンド上には檜!

 


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ロージンバッグに手を伸ばしながら檜はここまでの道のりを思う。

5季連続甲子園どころか、エースナンバーにも手ぇ届かん・・・

DLなんか来るんじゃなかった・・

後悔の連続で立ち止まり・・・

一歩進んではまたつまずいて・・

何一つ成し遂げぬまま2年目の夏・・・

憎き失敗の数々が耳元で囁く・・・

” 愛してるよ ”

まだまだ成長の余地あり。

失敗が理想へ導いてくれる。)

 

檜、気合の入ったいい顔をしている。

スコアボードに目をやる。

(5回裏ワンナウト1,3塁の大ピンチ。

マウンドには実績も経験も乏しい2番手投手。

すし詰めのスタンドから見下ろす1万人のお客様が・・・

ぐちゃぐちゃで色のないゲロみたいに見える・・・

そういや父さんが言うてたな・・

モノトーンに見えた観客席が、自分の一球でたちまち極彩色に変わったって・・・

俺にだってできるはず。

ゲロまみれのスタンドを満開の桜色に。

この1球が俺の新たなスタートや。)

 


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檜、セットポジションから投げた!!

渾身のストレート!!

 

 

阿比留が室内ブルペンでスタンドの歓声を聞いている。

打球音がしないのに、大歓声。

100%三振獲った時の盛り上がり!!

「アホボケカス!!

スベれやクソナルシストが!!」

檜の活躍を妬む阿比留。

 

ブルペンの隅には途中交代でスネた門松が三角座りしている。

 

阿比留は

早よベンチ戻れクソモアイ!!

何すねとんねん!!

と怒鳴るが、自分のグローブの 鍛錬 の2文字を見て門松に話し始める。

 

中2の夏休みに、新しいグローブ買うために、近所の包丁作ってる工房で働かせてもらった。

炉で熱した玉鋼をひたすら叩いて鍛える。

鍛錬という奴。

そこの刀匠ジジイがいつも言ってた。

” 鍛えた鋼は強うて美しい。

包丁の一生を決める大事な工程や ”

 

失敗するたびにこの言葉を思い出す。

成功までの大事な工程だと。

「お前がベソかいてる間にも、メンバー外の連中はどんどん強くなってるぞ。」

 

阿比留はそういって室内ブルペンを出て行った。

阿比留の言葉は門松の心に届いたのか・・・?

 

 

 

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