8月21日、陽向は修君から

「この試合を見て人生観が変わった。」

という言葉と共にあるDVDを借りた。

それは、横羽間対DL 延長17回の試合を録画したもの。

 


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これを家で見終わった陽向の目からは涙が流れ落ちた。

 

翌日の夜、山下公園のふ頭で陽向と修君が横羽間対DLの試合について話す。

陽向は

単車パクッて海で遊んで

女とヤッて昼寝・・

それが自分の3時間37分。

それと同じ時間に起きた事なのに今まで生きてきた自分の13年より濃く感じたという。

レモン水と魚介豚骨くらいの差。

 

勝っても賞金が出るわけでもなし、

負けても海に沈められるわけでもないのに何故あれほど必死になれるのか・・

陽向は不思議だと話す。

「何のために戦ってんだろ。

勝って泣いて負けて笑う・・・

デタラメじゃねーか・・・

そんな生き方知らねーよ。」

陽向はそう言って手すりにかけた自分の腕に顔をうずめる。

 


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その試合を身銭切って甲子園で見たわけでもなく、

一銭も払わずに家で観たなら万引きと変わらないと修は言う。

 


「価値って何だ?」

3か月前に折ったあばらの治療費が合計1万3千円。

球史に残る名試合より高いとは、狂った世界・・

 

「本気(ガチ)で生きてるか?」

とあの試合に問われた気がしたという修は、横羽間高校に行くと決めた。

欲しい生きがいがそこにはたくさんありそうだから。

 

せっかく生まれたのだから

ガムのようにすぐに味がなくなる人生よりも

いろんな味がギュウギュウに詰まったギットギトの家系ラーメンのような人生を送りたい。

修はそう話す。

そして、これから流す汗と涙を冷凍保存していつか1億の価値をつけてメルカリで売りさばく。

 

修は陽向に

「お前が目指す人生は何味だ?」

と聞く。

 

陽向は

「まずは出汁からとらねーとな。」

と言って帰って行った。

 

 

 

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