準々決勝と準決勝の中日、

藤巻に話した通り、狩野は幼馴染の天宝を連れて動物園に来ていた。

 


スポンサーリンク


 

3年生には内緒と言いながらソフトクリームを食べて象を見る。

 

準決勝の相手も決まって作戦を練れる貴重な休養日だが・・

まだ甲子園でヒットが出ない狩野には必要な気分転換なのだ。

 

小学校の時は毎日来ていた動物園。

毎年クリスマスに天宝の父親が年間パスポートをくれたのだった。

 

天宝は子供の頃の狩野を思い出して

野球をやることでまともになって良かったとしみじみという。

野球をやろうと言い出したのは天宝。

 

子供の頃の狩野は・・

焼き芋だと言って天宝のランドセルにサツマイモを入れて燃やしたり

拾った猫の頭蓋骨をピンクに染めて夏休みの自由研究として提出して学校をパニックに陥れたり

オランウータンのヤヨイが死んだときに毛をよこせと言って大暴れしたり・・

とにかく無茶ばかりしていた。

 

2人はオランウータン舎に来た。

ヤヨイが死んで4年。


スポンサーリンク


狩野はヤヨイと過ごした時を思い出す。

 

ヤヨイにはガラス越しによく話しかけていた。

「いつかみんな死にくさる。

せやのに何で生きくさる?」

と。

 

今そこにはヤヨイがクレヨンで描いた絵が展示してある。

知能が高いオランウータンは絵も描けるのだ。

飼育員から初めてクレヨン貰った時

ヤヨイの世界はドーンと広がっただろうと狩野は言う。

 

もう一カ所行きたいところがあると言って狩野は天宝を例の竹林に連れて行く。

 

そこは二人の原点。

狩野はここで生き物のリアルに夢中になった。

 

アリに食われる蝉。

交尾しながら共食いするカマキリ。

蟻に半分体食われてもがくミミズ・・・

食う方も食われる方も

腕ちぎれようが腸が飛び出そうが

生きようと必死のパッチ。

その死闘が羨ましくて仕方がなかったと狩野は話す。

 

学校では協調性なしの烙印を押され・・

少年野球では大人の顔色をうかがう・・

自分のそんな毎日が退屈で生きた心地がしなかったのだ。

 

 

 

次ページへ
 
 


スポンサーリンク