村の神社で再会した二人。

穏やかな笑みを浮かべるその顔とは裏腹に、歌仙の腕には無数の傷がある。

 


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歌仙の話では・・

村から山一つ逃げたら10日間。

山二つ逃げたら20日間。

四つ逃げたので40日間罰を受けたのだという。

これは村の掟だから仕方がないと歌仙は諦め顔。

 

哲雄はこの村のことを教えてくれれば

村を告発して歌仙を助けることができるかもしれないと話す。

 

歌仙は生まれてからずっとこの村で育ったので外の世界を知らない。

太陽は尊くて電気の光は汚いと教えられてきたけれど

真っ暗闇を歩いていた中で遠くに見えたガソリンスタンドの明かりは心の支えになった。

 

「私はこの村で嘘の仕事をさせられています。」

と歌仙は言う。

昔の人の霊を呼んで自分の体をその人に貸す仕事。

いわゆるイタコ・・

 

しかし歌仙は

本当は何も聞こえていないし、ただ演技をしているだけ。

もう嫌だという・・

 

哲雄は

歌仙が洋二に連れ帰られるその間際、助けて欲しそうに振り返ったその顔が忘れられない。

そして今、

(苗場さん・・どうか・・

私に外の世界を教えてくれませんか・・?)

と言われているような気がしているが、誘拐犯になってまでそんな事をする覚悟はなかった。

 

哲雄はトートバッグから小説の続きを取り出して歌仙に渡す。

将来小説家になることが目標だと言い、

見聞を拡げるために大学に行きたいと話す。

 

哲雄は気づけば大学の話を夢中でしゃべり続けていた。


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この村がいかに良くないかを歌仙に伝えたい気持ちはあったが・・

彼女にとっては絵に描いた餅。

絶望につながるだけかもしれない。

そう思いながらも話さずにはいられなかった。

 

話を聞いた歌仙は目を輝かせて

「いいなぁ・・

私もそこに行きたい。」

と言った。

そしてどんな手を使ってでも絶対にいくと言った。

 

神社の周りが騒がしくなってきた。

洋二たち村の若者が入ってきた。

 

危険を察知した歌仙は哲雄を逃がす。

 

洋二に外の人間が来なかったか聞かれたが、歌仙はシラを切る。

手下のものがある部屋を開けようとすると、歌仙が

神聖な部屋だから開けてはダメだと制止する。

 

洋二が入ろうとすると歌仙が両手を広げて立ちはだかる。

 

洋二
「・・どうした?

お前はこんなエセ宗教信じてないはずだろ?

まぁ・・

俺もそうだけどな。」

 

洋二は手下に神社を取り囲むように指示。

そして部屋に入ると・・

そこには立派な神棚があり、無数のお札が張ってあった。

しかし誰もいなかった。

 

歌仙が洋二の前に立ちはだかったのは哲雄を逃がす時間稼ぎだったのだ。

そのおかげで哲雄はバイクを押して下山することに成功。

公衆電話からレッカーを呼びスタンドに帰ることができた。

 

落ち着いたところで今日のことを思い出すと、改めてゾッとする。

今回は生きて帰ることが出来たが、次はどうなるか分からない。

小説の続きをもらって喜んでいた歌仙に再会する事は諦める。

 

 

 

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