歌仙の結婚の申し出を哲雄が断った。

その現場は田端に見られていた!

 


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当然次の日にはその事はサークル全員に知れ渡ってしまった。

 

後日卒業公演の脚本執筆中。

今回の脚本は哲雄と、横山さん(女性・4年)が担当。

哲雄はサスペンスしか書かない。

横山さんはラブコメ専門。

 

ストーリーはラブコメから始まり、

途中サスペンスを挟んでラブコメで終わるという、

今ではドラマなどでよく見る構成で作ることになった。

 

横山さんが持ってきた脚本の骨子は・・

歌仙が哲雄に告白したやり取りそのままだった。

 

哲雄はいじらないでくれと頼んだが却下。

そこからの展開を考える上で、横山さんは

哲雄が歌仙をフッた理由を尋ねる。

 

哲雄が歌仙を振った時のセリフは

” 君が僕を好きなのは嘘だ。

だから付き合うべきじゃない。 ”

 

つまり、哲雄は歌仙を嫌いだとは言っていない。

でもフッた。

 
横山さんはその理由を聞いたのだが、それは哲雄本人にも判らない。

歌仙のことは好きなのだが、

哲雄は自分自身が幸せになることに違和感を感じているという。

 

「自分のことしか考えていない」

と横山さんは責める。

 


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しかしそんなことを言っていても仕方がない。

横山さん曰く、恋愛は共同作業。

まずは違和感の正体を突き止めなくてはならない。

 

これについては哲雄自身も漠然としていて上手く言語化できない。

 

結局この件は宿題として持ち帰ることとなった。

 

幸せになることへの違和感。

哲雄は自分が好きな人と付き合う事を避ける理由を考える。

 

歩きながら考え、銭湯で頭を洗いながら考える。

すると思い当たるふしがあった。

それは両親の事故死。

その後預けられた祖父も病気で立て続けに亡くなった。

家族が死ぬのが怖いのだ。

 

もうあんな思いはしたくない。

それに、新しく家族になる人も不幸になってしまう気がする。

これが違和感の正体だった。

 

しかし・・

と哲雄は自問する。

このまま変わらなくていいのか。

歌仙は大変な思いをして村を出て大学へ来た。

 

哲雄は自分が大学へ来た理由を考える。

勉強するだけなら独学でも良かったし、

小説を描きたいだけなら文芸部でも良かった。

 

何かを求めて大学に入り、演劇サークルに入った。

一人で生きていては一生味わう事のない何かを。

 

哲雄はサークルの仲間と歌仙に自分の気持ちを伝える決心をする。

 

 

 

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