楓とカナタと恋は高崎駅東口近くのカフェに入る。

 


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楓まず、健がカナタに連絡しなかった理由から話す。

 

健は末期のすい臓がんで群馬大学付属病院に入院していた。

仕事は仏師で、仕事に没頭してたがゆえに病気に気づかなかった。

息子のカナタが日本に来てレーサーとして活躍していることは知っていたが

父親としての資格はなく、合わせる顔がないと言って連絡しなかった。

 

MFG第1戦と第2戦はベッドの上で応援していたが

第3戦の決勝の最中に息を引き取った。

正確には7月16日13時09分。

 

その時間を聞いてカナタの息が止まった。

左ひじの痛みにあえいでいたあのレースの途中

ナビシートからあたたかい波動のようなものを感じて

ひじの痛みが嘘のように消えたことを思い出す。

 

あの時ナビシートにいたのは父親だったのだと思うと涙が溢れて止まらなくなった。


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カナタにつられて恋も泣きだした。

付き添いだからしっかりしなきゃと自分を奮い立たせて

カナタに手紙などのメッセージはなかったのかと楓に聞く。

 

楓は自分の知る限りではそういうものはなかったと話す。

 

ここまで話して3人はカフェを出た。

別れ際楓はカナタに、両親にあって欲しいと話す。

実家には健の残した作品もあるし

何より両親にとってはカナタは今のところたった一人の孫だから。

 

楓は在来線の改札を通り、二人と別れた。

カナタに兄を許してくれとは言えなかったが

カナタの深い悲しみを感じることはできた。

それだけでも兄は浮かばれると思うのだった・・

 

それに思っていたほどカナタが兄を恨んではいないことはわかった。

日本で片桐姓を名乗っていることがそれを物語っている。

 

 

 

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