7年前。

村の事件から4か月経った頃

退院した哲雄は夜な夜な村での凄惨な状況や

窪の幻影に悩まされて眠れないでいた。

 

夜中に絶叫して目を覚ます哲雄を歌仙は抱きしめ、毎日のように2人は求めあうのだった。

 

哲雄は零花のために延人を殺し、家族を守る行動の結果、村では180人が犠牲になった・・

気丈にふるまう歌仙でさえ心に大きな傷を負ったことは間違いない。

お互いが罪悪感や恐怖を共有できる唯一の存在なのだ。

 

そして2人は婦人科を訪れ、歌仙の妊娠を知る。

年齢を考えると哲雄にとって予想外の事であった。

 

いつ捕まるかわからない自分たちに育てられるか、哲雄は不安だったが

歌仙は産むと断言する。

これ以上死を見たくないのだ。

哲雄は同意する。

 

毎日仕事をしていても村での出来事のフラッシュバックに悩まされる哲雄だが

村のことは忘れないように心に決めている。

例え心が壊れても。

そして二度と自分は幸せにならないことも決心している。

 

夜歌仙と楽しく夕食を取っていても窪の幻影が見えてしまう。

ベッドの中で窪に襲われる夢を見ても最近は慣れて心が動かなくなった。

 

しかし10か月経って子供が生まれ、自分の手に愛しい我が子を抱くと

静止していた心が大きく動き出し

喜びの涙が溢れてくるのだった・・

 

〇感想

 

最後のページ、子供を抱く哲雄の口から血が流れています。

血が出るほど歯を食いしばったのでしょうか。

もう二度と喜ぶまいと決めていたので

あふれ出てくる喜びを必死に抑え込もうとしたのでしょう。

哲雄の心の葛藤の壮絶さが表れていました。

 

7年経ってそういった緊張感が薄れかけていたところに

再び志野と窪が現れた。

文字通り決死の追跡の後に放った窪への1発目は無情にもかわされてしまった・・

哲雄と窪の再戦がここから始まります。

 

零花と恭一が冷凍庫を開けて見たものが何かも早く知りたいけど

もうしばらくお預けでしょうか。