大阪大会決勝 DL 対 花忠社

現在のスコアは7-10

9回表DLの攻撃。

 

ツーアウトでランナー1,3塁。

仲間たちに狩野との勝負を宣言した糸巻は魂の投球で0-2と追い込んだ。

 

球場はあと一つコールの大合唱。

狩野は目を閉じ、自分の感覚を研ぎ澄ます。

全ての雑音が消え、ただ暗く、澄んだ水の上に立っている。

狩野に見えているのは18.44メートル先の糸巻のみ。

 

糸巻が投球動作に入る。

 

狩野の読みはストレート。

 

糸巻投げた!

狩野の読み通りストレートだ!

 

スリークォーター気味の右腕から投げられたフォーシームは少しシュート回転する。

真ん中からやや逃げ気味に曲がる速球の軌道を狩野は完全に見切っていた。

 

昨日より上手くなりたい。

昨日より強くなりたい。

幼少の頃よりそう思い続けて練習してきた。

その積み重ねを、思いを全てボールにぶつけた。

 

真芯でとらえられたボールはいい角度で半分晴れた空に向かって突き進む。

 

そのボールを狩野は誇らしい気持ちで見送る。

そして次の瞬間、全力でバットを放り投げた!

 

球場が大歓声に包まれた!!

 

狩野は飛び跳ね、ベンチに向かって人差し指を突き立てる。

ベンチの仲間たちは喜びを感動が上回っているようだ。

監督が目頭を押さえる。

 

狩野は万感の思いを込めてユニフォームをつかむ。

 

〇感想

 

やった・・やったよ。

良かった。

胸が熱くなるホームランでした。

喜びを爆発させるまでの狩野の表情の動きが切なかった。

決して順調ではなかったここまでの道のりが蘇ったのでしょう。

そこからの強すぎるバットフリップが最高でした。

やっぱスポーツはいいなと思える瞬間でした。

 

冒頭の糸巻のグローブの中の握りを狩野が透視ししている描写が良かった。

狩野がストレートを確信している感じがすごくよくわかりました。

ただ私自身がフォーシームの握りか自信なかったので検索してようやく確信出来ました。

 

監督が手で顔を覆っていましたが阿比留も丸井も涙ぐんでいました。

決めるべき時に決める狩野の凄さに感動したのだと思います。

 

狩野母や姉、サクラたちの表情も見たかったな・・